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セルの自室前――
「なんでこう、うちの使用人共は落ち着きが無いんだ…」
「たしかに、まぁ御部屋でしたらゆっくりおくつろぎできますし」
溜め息をつくセルをユーリが慰める。
セルの自室には許可無く入る事はできない。
部屋の掃除も、セル自身綺麗好きなのでそれといって汚れていないのでする必要が無いのだ。
「あぁ、そうだな―――んっなぁっ!?」
取っ手を回し扉を押そうとしたが、それと同時に何故か扉が内側から開いた。
そしてその勢いのまま倒れこむセルに、何か黒いものが抱きついたのだ。
「ダーリン!!ハニーを置いて何処に行ってたのよぉ!!わたしとっても寂しかったんだかr「バシッ!」…アンッ!!」
「おい、ジルソン=エンデュランス、いつから俺はダーリンになったんだ!?
それにハニーって何の事だ!?言ってみろ!!」
ジルソン=エンデュランス、この屋敷にある書庫の管理人であり、まぁ簡単にいうと"オカマ"である。
長い銀髪をポニーテールにし、金色の瞳には黒縁だて眼鏡、黒いロングブーツに黒いロングコートという出立ちだ。
ジルソン(以下ジル)はセルに顔を叩かれ涙目になりながらも答えた。
「もぅ、決まってるじゃないの―――あ・た・s「ジル、ふざけるのはたいがいにしろ!!
それに自分の主に抱きつくとは何事だ!!」
ユーリがセルを羽交い締めにしながら一喝した。
「もー固いわねぇ、スキンシップよスキンシップ。セルちゃんも照れなくていいわよ…ていうかそもそも……」
言葉を区切り、またも羽交い締めをされ押さえつけられているセルとユーリを見ながら意味ありげに続けた。
「あんたは人を愛することができない…仕事がハニーなんでしょ…?」
しかめっ面のユーリと無表情のセル、その目線の先には満足気なジルがいた。
「さて、それじゃ話しましょう…愛しの"ハニー"について……」
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