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「今回の報告書です」
「メアリ・ロイロット嬢の"蒼いルビーのネックレス"ね………ん…いいわ、保管しておく」
風が少し冷たくなってきた夜のテラスに3人はいた。
ジルは長い脚を持て余し、紅茶を片手に書類に目線を落としている。
「話しとはなんだ?報告書を渡すだけでこんな夜会を開くのか?」
じっと黙っていたセルが問いただした。
ユーリもセルの後ろで眉間に皺を寄せている。
「そうだったわね、じゃあ、単刀直入に言わせてもらうわ……」
ゴールドの瞳を細くし、口元にはわずかに笑みをこぼして、どこか面白がっているかの様にこう告けた。
「セルスティン・ラファイエット、貴方はルールを破りました」
「…な…にっ……!!!!」
何故だ?俺は完璧なはず…
「クスッ、いい反応ねェ…その様子だと気付いてなかったみたいね」
ジルの瞳が妖しく光り、意味ありげに唇を濡らした。
するとユーリがセルの疑問に思っていた事そのものを問うた。
「どういう事だジル、全て話せ!」
「もう、せっかちねユーリちゃんは、そんなに焦らなくても全部掴んでるわ、安心なさい」
「…前置きはいい、全て聞かせろ…俺がいつ、何処で、誰に見られたのか…そしてお前が掴んだ情報を…全て…」
先程までとは違う、2,3時間前と似た雰囲気でセルは命じた。
ジルはより瞳を細め、主人の前で膝を折り、頭を深く下げた。
「御主人様の仰せのままに…」
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