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「リュリ・ランフォード、それが貴方を目撃した人間の名前よ」
「何者だ?」
「…………」
眉間に皺を寄せセルが聞いた。
ユーリはというと、テラスの柵に腰掛け、これまた眉間に皺を寄せて何やら考え込んでいた。
「ただの下町の子供よ。
おじいちゃんと暮らしてたみたいだけど、3年前に死んじゃってるから今は1人暮らしね。
"メモリア"っていう雑貨屋で働いてるわ」
「そうか…ならボンドでもいけるな…ユーリ、お前が行くほどでもない…どうした?」
ユーリは柵に腰掛けたまま目をつむっていた。
「ジル…目撃者の姓はランフォードでしたね…?」
ゆったりと、確認するかのようにユーリは口を開いた。
「そうよ」
ジルは瞳を細めながら答えた。
「祖父と暮らしていたが3年前に他界…」
「えぇ」
「祖父と暮らし始めたのは…?」
「12年前よ」
「………」
「さすがユーリちゃん、勘が鋭いわねぇ」
「おい、勝手に話を進めるな ユーリ何が言いたい?」
ジルはふざけた様に拍手をし、セルは分けが分からないと顔をしかめた。
ユーリはゆっくりと顔をセルに向け、口を開いた。
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