第3話

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ガタガタガタガタ 落ち葉を舞い上げる風が窓を叩きつける。 その風は部屋の中にまで入り込み、住人の頬をかすめていく。 明るかった空も6時を過ぎるとあっという間に闇色に染まる。 「そろそろ毛布も厚いのが欲しい季節ね」 暖炉の前でココアを啜るリュリは窓の外を眺めていた。 そしてもう何度目か分からない大きなため息をついた。 あの青年と別れた後、もう一度ブレスレットを探したが結局見つからなかったのだ。 「おじいちゃんから貰った大切なものなのに…」 『おじいちゃん、てのきらきらなに?』 『ん?ああぁ、これはおじいちゃんの大切なものだよ』 『たいせつなもの?きらきらきれいだね!』 『…リュリはこのキラキラが好きかい?』 『うん、だいすき!』 『じゃあ、リュリにあげよう。後々渡すつもりだったが…まぁいいだろう』 『きらきらいいの?』 『もちろんいいとも。 だけど一つだけ約束をしておくれ、このキラキラの事を他の人に話したり、見せたりしてはいけないよ。 おじいちゃんとリュリだけの秘密だ、約束できるかい?』 『うん、やくそくできる!』 『おぉリュリは偉いなぁ』 「…おじいちゃんゴメン…」 はんベソになりながらココアを啜る。 すると玄関の方からお隣さんの声がした。 「リュリちゃんいるかい?お客さんだよ」 「はい、今行きます!」 飲みかけのココアをテーブルに置き、急いで玄関に向かった。 「あっ、忘れてた」 大きな姿見の前を通り過ぎた時、自分が寝間着だということに気付き、急いで部屋に戻りガウンを引っ掛けた。
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