第1話

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工事は終わりかけているようだが足下はまだ凸凹している。 「ほんとに真っ暗…それに狭いわ…工事の人も大変そうね……」 そうこぼしながら足を速めていく。 何回も角を曲がり、やっと道も空も開けたところに出た。 その空にはここ何日間見れなかった星が瞬いていた。 「わぁ、綺れ…ぃああぁぁ!!!」 "い"と続くはずだったが、リュリにはその先の言葉を言う事ができなかった。 上を向いて歩いており、足下への注意がおろそかになったその時、これまた大きな窪みにつまずいてしまったのだ。 そして同時に腕に抱えていた"物"も宙にぶちまけてしまった。 「なんなのよ、もうっ!!」 地味に擦り傷ができており、それがまた地味に痛い。 痛みに耐えて立ち上がろうとしていたが、次に目にした光景がリュリの思考を奪い去ってしまった。 ふわりと舞い落ちてきた黒い"モノ"。 それを薔薇の花片だと気付くよりも前に、もっと大きな黒い"モノ"が音も無くリュリの目の前に舞い降りてきた。 黒いマントをなびかせて 黒薔薇の花片を纏い 白い仮面で目元を隠し ニヒルな笑みを携えて 彼女はまだ知らなかった。 路地の闇よりも暗いその黒が自分の運命を大きく変えてしま った事を―――― それは気が付かなかった。 自分を見つめる小さな影に、自分が"ルール"を破った事に―――― 彼等がそれを知るのは、まだ少し先のコト
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