第2話

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屋敷の中に足を踏み入れると、なんとも言えない香りが鼻腔をくすぐった。 シックで落ち着いた雰囲気のホールには、大きなシャンデリアが控えめに輝いている。 奥には二階へと続く階段があり、そしてホールの中央には、香りの源と思われる色とりどりの花が咲き誇っている。 何一つ乱れる事無く完璧に調和している空間に二人が入ると、待っていたかのように奥の扉が開いた。 「お帰りなさいませ旦那様、お顔にまだあとが残っておりますよ」 落ち着いた声が空気を震わした。 「うるさい、仕事がある、邪魔をするな」 セルスティン(※以下セル)はこう言い放ち階段に足をかけた。 主の返事に微笑みながら、料理長でありユーリの右腕でもあるマダム・キュピレットは続けた。 「お食事のご用意が出来ておりましたが…いりませんでしたか…「いや、いる」 さっきまでの素っ気なさは何処へやら、セルはくるんと向きを変え食堂へ突き進んで行った。 そして彼の後ろでは、してやったりと言わんばかりにマダムがユーリにピースをし、それに対してユーリも親指をあげていた。
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