友達の彼女

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「本当はね、縄とかで縛っちゃうのも手なんだけど、それだと身体に傷が残っちゃうでしょ? 大好きなものが傷ついたり壊れたりするの嫌なんだよね」 「……質問の答えになってない……」 彼女に向かって僕はそう呟くように言った。 「フフ……、ねぇタカちゃんは人を好きになる事ってどういう事だと思う?」  すでにタカちゃんと呼ばれることに嫌悪感しか抱くことが出来ないが、僕は彼女に絞り出すように言葉を返した。 「……少なくともこんな事をする事では無いだろう……」  そんな僕の回答を聞いているのか聞いていないのかが掴めないが、彼女は言葉を続ける。 「……私はね、好きになった一瞬とその全てを愛し手にする事だと思うの」  彼女の言ってることは僕にはさっぱり理解することが出来ない。 「好きって感情ってとっても自分勝手な感情だと思わない?」  彼女は僕に問う様に次々と言葉を並べ立てていく。 「好きになることは自由だし好きだった相手を嫌いになるのだって自由。もちろん両想いに越したことは無いけど、それでも大体の人は別れたり結婚までいっても結局離婚したり……、せっかく好きって素敵な感情が芽生えたのに、時間がたつことで全てが壊れちゃうなんて勿体ないと思わない?」  長々と言葉を連ねる彼女に対し僕は何も答えることができなくなっていた。いや、正確にはどこか冷静に話を聞こうとしている自分がいた。もしかしたらこんなに冷静でいられるのも薬の影響なのかもしれない。 「だからね、私は決めたの。好きだって私の感情を大事にしようと……、でもねそう思うとすごく貪欲になる。好きになった人との未来なんていらない、でも私が好きになったその人を形成してきた全ては知りたい! 手に入れたい! ワタシトヒトツニナリタイ」
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