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そうして、俺は読書を再開したのだが、一度読んだら止まらなかった。
その集中力ゆえか、周りの状況に気がつかなかった。
俺が読書を再開し集中していると、図書館に黄色のリボンで髪をしばったポニーテールの長い黒髪の女性が入ってきた。
その女性は清楚な雰囲気の持ち主で大和撫子を具現化したような女性だった。
周りのみんなはその女性が入ってきた途端、静かに騒ぎ始めていた。
しかし、俺は迂闊にも気づけなかった。
そして、
その女性は俺の体に抱きついた。
俺はびっくりして、その女性を見た!
その女性を見た途端、俺は思考回路が一時停止したが、心臓がドキドキし始めた!
その女性は俺の頬や頭を撫でていた。
朱乃:「うふふ、周りの人が私に気づいていたのにあなただけ気づいていないんなんて、あなたよっぽど読書好きなんですね。」
亮太:「いえ、あの、その、申し訳ありません!」
朱乃:「うふふ、怒っていませんわ。気にしないで下さいな。あなたにこれを渡しに来ましたの。」
そう言うと、その女性はポケットから何かを取りだそうとしていた。
説明が遅れて済まないが、この清楚な女性は姫島朱乃先輩。
駒王学園の三年生で、リアス・グレモリー先輩は人気を二分する女性だ。
彼女たちは「二大お姉様」と呼ばれていて、非常に有名な人たちだった。
ここだけの話だが、実は俺は姫島朱乃先輩に憧れと好意を抱いているのだ。
清楚かつおとしやかな振る舞い、落ち着いた雰囲気の大和撫子、お姉さんのような存在からだった。
おまけに俺は年上の女性が好みで、彼女はまさにタイプだったのだ。
ただ、彼女は高嶺の花、届きそうにないと半分諦めていた。
さらに、彼女も兵藤によく接触していることが、ますます俺のジェラシーに火を付けていた。
悔しいが、ルックスは兵藤一誠よりも負けていたこともまた影響していた。
そんな彼女がなぜ俺に近づいたのかは分からないが、俺は彼女から渡された紙を受け取った。
その紙には赤色の魔法陣と「オカルト研究会」という部活の紹介が書かれていた。
朱乃:「よろしくお願いしますわ。ではまた。」
そう言うと、姫島先輩は図書館から出て行った。
俺は先ほどの光景が信じられず、ただ茫然としていた。
その後は読書に身が入らなかった。
仕方がなく、学園の図書館を後にすることにした。
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