その出会い

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「風、舞、英、裕陽。後はお兄ちゃんがやっておくからもう寝ようね」 不信そうにも、二階へと上がる四人。 それを見届けると、本奇が走ったのは本歌の元。 「本歌、どうしたの」 抉られた昔、いやそう遠くない記憶。 消そうとしていた、必死に消そうとしていた。 「本歌、ここに居るよ。大丈夫だよ。」 血に塗れた顔が、目が見開かれたその顔が、 白い布で覆われる瞬間を。 力が抜けたかの様に、膝から頽れる本歌。 きっと、今彼の目に映っているのはあの日の記憶だけ。 「な、どうした!?」 「大丈夫、あの日の記憶が辛過ぎた、みたいでね。  僕にも話してくれないんだ。  .......ちょっと、待っててね。」 同じ身長の本歌を背負うと、ゆっくりと階段を上っていった。 残されたのは、呆然とした楓と、まだ水の滴る食器だけだった。
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