序章

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今からちょうど二百年前。 この世界を、世界規模の大地震が襲った。 人々は地割れに落ちたり、崩れた瓦礫に押しつぶされたりで多くの命が失われる結果となり、当時、この惨状を目の当たりにした者はこの世の地獄と嘆き悲しんだ。 しかし、彼らの地獄はまだ続きがあった。 余震が収まり、世界の各地で集団非難をしていた人々だが、数十分後にはその表情は恐怖と絶望で塗りつぶされる。 最初に見た者はきっと巨大な壁が迫ってくると言っただろう。 数百メートルにも及ぶ巨大な津波。 それが、非難していた住民もろとも大地を呑み込んでいった。 それは一度では収まらず四回ほど繰り返され、ありとあらゆる生命と国をこの世から奪い去っていった。 波が引いた後、そこにあったのは荒廃した大地。 動植物は元より、人々の作り上げた頑丈な建物さえ何も残ってはいなかった。 この大災害を機に世界人口は二割を下回り、文明レベルは百年単位で後退することになる。
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