序章

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血の滲む努力の果てに創造された大魔法【時間逆行魔法】。 人々を真実を伝えようと命を賭した賢者によって証明された【世界の意思】。 この二つが揃った時には、すでに大災害から二百年が過ぎていた。 そして、この時から生き延びた人々は新たに前へ進むこととなる。 それはすなわち、二百年前に遡り【世界の意思】により引き起こされる大地震を止めること。 だが、【世界の意思】によって起こされる大地震を止めることは人には到底無理でしかない。 ならばどうすればいいのか。 結論は簡単に出た。 世界に『人間を滅ぼそう』という意思を持たせる結果となった、大魔法の使用を止めてしまえばいい。 人為的に引き起こされるこの魔法ならば、大地震よりも遥かに簡単に止められるものだ。 方針は決まった。 なら次は誰が行くかだ。 名のある賢者、強力な魔法を操る魔法使いは一様に首を振る。 過去に逆行する魔法はあれど、未来へ瞬行する魔法は作られていない。 つまり、過去にはいけるけど、過去から見た未来にあたる現在には帰ってこれないのだ。 彼らを躊躇わせる原因はそれだけではない。 もし、大魔法を止めることが出来なければこの世界の人類は絶滅する。 自分も大地震か大津波に呑まれて死んでしまうだろう。 気が狂いそうになるほどの恐怖とプレッシャーだった。 滅びの未来は知っているだけでその人間の精神を蝕むのに十分だった。
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