my dear you

3/16
467人が本棚に入れています
本棚に追加
/40ページ
僕と亜美は、大学のサークルを通して知り合った。 違うサークル同士の交流。いわゆる、サークル合コンという奴だ。 学部はまったく違っていた為、授業も合わず、そのとき初めて会話を交わしたのだが...僕は、すぐに彼女の虜になっていた。 透き通った白い肌に、綺麗な鼻立ち。目の大きさといえば、僕の倍はあるだろう。 笑ったときにチラリと覗かせる八重歯に、エアリー感満載のショートボブが、女の子らしさを引き立たせていた。 外見にやられたのは勿論だったが、お酒もあってか、目を輝かせながら夢を語る彼女のことが、羨ましくも思えたのだ。 彼女の夢は映画を作ることだった。 監督になりたいの? と、尋ねると、彼女は首を左右に振った。監督も魅力的な仕事だが、どちらかといえば映像の編集に携わりたいのだという。 その話を聞いて、だから映画研究サークルに入ったのか...と、納得した。 「和也君は、夢とか無いの?」 鼻にかかった亜美の甘い声に、『夢かぁ』と、居酒屋の天井を眺めた。 勿論、僕にも夢はある。小さい頃から俳優になるのが夢だった。 ただ、それを彼女のようにハッキリと声に出して言えるほど、何かを努力しているわけでもなく... また、恥ずかしくて周りに話したこともなかった。仲のいい友人ですら知らないことだ。 このときだけは、酒が入っていたせいか、気が付けば自分の夢を彼女に話していた。 流れでとはいえ、言った後に急に恥ずかしくなり、耳まで熱くなった。 自慢できるほどのルックスもない男が、何を言ってるんだ...と、思われても仕方がない。 .
/40ページ

最初のコメントを投稿しよう!