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だが、彼女はそんな僕の話を馬鹿にすることはなかった。
真剣な面持ちで、時折うなずきながら最後まで話を聞いてくれた。だからこそ、話してしまったというのもあった。
「じゃあさ...将来、わたしが和也君を撮れたら最高だね」
『えっ、えぇ? それ、本気で言ってるの?』
「勿論っ。だから、一緒に頑張ろうね」
そんな話をしながら、僕たちはグラスをぶつけあった。
正直、心が痛かった。僕は彼女が思っているほど、真剣に目指していなかったからだ。
でも...夢の話をしてよかった。
この話がきっかけで、一気に話題が盛り上がり、最終的には電話番号を交換することができたのだ。
彼女との繋がりを得ることが出来たのは、僕にとってはラッキーとしか言いようがなかった。
特別、次の約束をした訳ではないのだが...
とにかくこの日は、興奮して朝まで寝つけなかったのを今でも覚えている。
合コンが終わってから、僕は日に日に携帯画面を眺める回数が増えた。
特に夜。彼女から電話がかかって来ないかと、一晩中睨んでいたこともあった。
だが...二日、三日と過ぎても、電話がかかって来ることはなかった。
メールの問い合わせも、何回したかわからない。
結局は、社交辞令だったのかもしれない。
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