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それからというもの、僕の祈りが通じたのか、彼女と再び二人きりになる機会が訪れた。
しかも一度ではない。僕たちは、二度三度と繰り返し、遊びに出かけていた。
ただ、正直なところデートと呼べるのかは怪しい...
というのも、そのデートコースがいつも映画鑑賞だったのだ。
僕の位置付けは、新作を見るためだけの、ただの付き添いなのではないか...と、感じてしまう。
つまり、映画研究における助手的な存在なのではないか...と。
最初はそれでもよかった。でも、人間とは欲張りなもので、彼女と繰り返し会う度に、付き合いたいという願望が強くなった。
三回目のデートをした夜。遂にその欲望を抑えきれず、僕は勇気を出して告白した。
『亜美さん。僕と付き合ってください』
洒落も効かないストレートな言葉を告げると、彼女は目を真ん丸にして、持っていたグラスを落としそうになっていた。
『ダメ...かな?』
「うん...ダメ...」
返事を聞いた瞬間に、肩の力が一気に抜けた。
これで、彼女との楽しい時間が終わりを告げるのだと思うと、いてもたってもいられなかった。
「このままじゃ付き合えないよ」
『そっか...わかった』
素直に立ち去ろうと、僕は腰を持ち上げた。
もうこれ以上、この場にはいられない。
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