467人が本棚に入れています
本棚に追加
付き合うようになってから、特に問題もなく、僕たちの仲は順調に続いていたはずだった。
一番不安だったのが、大学の卒業時...
社会人になるのと同時に、別れが来るのではないかと心配になっていたのだが、むしろ社会人になってからの方が、関係はより深まっていった気がする。
お互いちゃんとした収入があり、休みを合わせて旅行に出かけることも、しばしばあった。
僕は、普通のサラリーマンとなった訳だが、亜美は映画関係の仕事に就いた。
彼女は、夢に向かって一歩前進したのだ。
そんな彼女の夢を僕は全力で応援し、彼女もまた、ひたむきに頑張っていた。
ここだけを見れば、何の問題も無いように思える。
僕だけがそう思っていただけかもしれないが、本当に二人の仲は悪くなかった。
唯一あげるとすれば、彼女がいなくなる一ヶ月前の喧嘩くらいだ。
研修生のバッチがとれた僕たちは、次第に休みが合わなくなった。それでも会おうと思い、僕は彼女の家に押し掛けた。
すると彼女は、終わらなかった仕事を持ち帰り、パソコンに向かって眉間にシワを寄せていた。
「ごめんっ、これだけ終わらせちゃうから、先にご飯食べてて」
『うん。全然いいけど、それ何の作業なの?』
「これ?」と、亜美はマウスを操作しながら答えた。
.
最初のコメントを投稿しよう!