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「いいの? わたしで...」
『勿論』
「わたし、わがままだよ?」
『いいんだ』
「わたし、嘘つきだよ。いっぱい嘘つくよ?」
『知ってるよ。でも、亜美の嘘に悪い嘘はないことも知ってる。だから、それでいいよ。僕は、亜美の全てが好きなんだ。だから、結婚して欲しい』
亜美は涙を拭いながら、ジッとリングを眺めていた。
僕は、それを見て、すかさず彼女の左薬指にリングを通した。
少しだけ、ゆるかったようだ。それでも彼女は「ピッタリ」と、嘘をついて笑みを見せた。
『受け取ってくれる?』
亜美は、小さく頷いた。
「本当にありがとう。でも、正式な返事は後日させてくれないかな。今は...この余韻に浸らせて」
『わかった、待ってるよ。でも、そのリングは亜美が持ってて』
ちょうど料理が運ばれて来た為、『とりあえず、食べよっか』と、僕は彼女を信じて答えを待った。
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