どこかで

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............ その後、完成した絵を持ち込むと、館長からの評価も悪くなかった。 早速、来月から展示してくれるとのことに、天にも昇る思いだったのを覚えている。 だが、覚えているのはそこまで... そこから先、自分の身になにが起こり、どのようにしてここにいるのかは、まったく思い出すことが出来ない。 ようやく幸せに近づいた現実から、一変して訪れた闇。 くそっ... これからだというのに、なんでこんな目にあわなきゃならないんだ。 ようやく手にした美術館への切符... これで、今まで苦労をかけてきた、涼子への負担を減らすことが出来るかも知れない。 そして...勇太との約束も、ようやく果たせるときが来たはずだった。 そんな矢先の出来事に、恐怖や苛立ち、焦りといった様々な感情が浩介の中で爆発し、思わず目の前の見えない壁に拳を何度も打ちつけていた。 .
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