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このままここにいては、本当に死んでしまう。
幸いにも、周りの土は柔らかい。
ならば、ひたすら掘り進み、ここから抜け出すしか選択肢はない。
浩介は、必死に目の前の壁を掘り進んだ。
進むべき方向などは、正直わからないが、動物的な勘とでもいうのだろうか...
今、向かい合っている方向であっている気がした。
ザシュ..ザシュ...
という音を上げながら、力の限り土をかきだした。
どれくらい経っただろうか...
腕の力も、とうに限界に達しながらも懸命に掘り進むと、段々と視界が明るくなってきたのが感じられた。
うっすらとだが、周りの土の色も見えてきた気がする。
そして遂に、手に伝わる圧力が無くなると、自分の目に一筋の光が射し込んだ。
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