どこかで

9/13
前へ
/40ページ
次へ
長い間、暗闇の中にいたせいで、地上から射し込む強い光に、視界が赤くなった。 やった... 助かった。 はいつくばりながら体をすりよせて地上に出ると、ホッとため息を吐いた。 からだ全体に風を感じる...視界はまだ回復しないが、外に出られたことは確かだった。 浩介は、そのまま休もうとはしなかった。 自分をこんな目にあわせた奴が、近くにいるかも知れないと思ったからだ。 目が見えないからこそ、じっとしている訳にもいかない。 力の限り、その場から移動した。 だが、既に限界を越えていた体力もついに底をついた。 何かにしがみつきながら体を起こすと、その瞬間に意識は再び暗闇に落ちていった。 .
/40ページ

最初のコメントを投稿しよう!

467人が本棚に入れています
本棚に追加