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長い間、暗闇の中にいたせいで、地上から射し込む強い光に、視界が赤くなった。
やった...
助かった。
はいつくばりながら体をすりよせて地上に出ると、ホッとため息を吐いた。
からだ全体に風を感じる...視界はまだ回復しないが、外に出られたことは確かだった。
浩介は、そのまま休もうとはしなかった。
自分をこんな目にあわせた奴が、近くにいるかも知れないと思ったからだ。
目が見えないからこそ、じっとしている訳にもいかない。
力の限り、その場から移動した。
だが、既に限界を越えていた体力もついに底をついた。
何かにしがみつきながら体を起こすと、その瞬間に意識は再び暗闇に落ちていった。
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