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響先輩と玄関で別れて教室に行く途中、2組の教室の手前に秋穂が立っていた。
「あれっ?秋穂おはよ。
こんな所でどうしたの?」
一瞬焦ったような顔をした秋穂が
「んー、ちょっとヤボ用。
先に教室行っててね」
そう言ってニコリと微笑んだ。
…ヤボ用…?
何だろう…?
そう思ってたら、後ろの方から
「あっ!秋穂ちゃーん!
おっはよーっ!」
今日もテンションの高い声がして振り向いたら
手をブンブン振って顔をクシャクシャにした木村くんと、それを呆れたように見ながら歩いて来る誠くんの姿。
…なんだかすごく気まずそうな顔してる秋穂…
「木村くん、塩谷くんおはよう…」
そう言ったっきり戸惑ってる秋穂にピンと来た私は、秋穂の前で立ち止まった木村くんと誠くんを見て、迷わず行動に出た。
「誠くん、ちょっと…」
「え?」
「いいから!ちょっと来て」
強引に誠くんの腕を掴んで歩き出した私に
「あれっ?麻衣ちゃん誠を拉致してどうするの?」
と木村くんが言ってたけど、無視して誠くんを引っ張った。
「麻衣ちゃん?どうしたの?」
「いいから」
程よく秋穂と木村くんから引き離したところで私は歩みを止めた。
「もう、誠くん鈍感なんだから…」
ふーとため息をつく私をじっと見てた誠くん。
「あっ!そーいう事か!」
「そうだよー…」
私と誠くんは顔を見合わせてクスクスと笑った。
「あっ…秋穂ちゃんっ!
ありがとぉぉぉっ!!
大好きだぁぁぁっ!!」
少し離れた所で、木村くんの絶叫が聞こえて、私と誠くんは爆笑した。
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