Time 27

4/5
5994人が本棚に入れています
本棚に追加
/177ページ
響先輩と玄関で別れて教室に行く途中、2組の教室の手前に秋穂が立っていた。 「あれっ?秋穂おはよ。 こんな所でどうしたの?」 一瞬焦ったような顔をした秋穂が 「んー、ちょっとヤボ用。 先に教室行っててね」 そう言ってニコリと微笑んだ。 …ヤボ用…? 何だろう…? そう思ってたら、後ろの方から 「あっ!秋穂ちゃーん! おっはよーっ!」 今日もテンションの高い声がして振り向いたら 手をブンブン振って顔をクシャクシャにした木村くんと、それを呆れたように見ながら歩いて来る誠くんの姿。 …なんだかすごく気まずそうな顔してる秋穂… 「木村くん、塩谷くんおはよう…」 そう言ったっきり戸惑ってる秋穂にピンと来た私は、秋穂の前で立ち止まった木村くんと誠くんを見て、迷わず行動に出た。 「誠くん、ちょっと…」 「え?」 「いいから!ちょっと来て」 強引に誠くんの腕を掴んで歩き出した私に 「あれっ?麻衣ちゃん誠を拉致してどうするの?」 と木村くんが言ってたけど、無視して誠くんを引っ張った。 「麻衣ちゃん?どうしたの?」 「いいから」 程よく秋穂と木村くんから引き離したところで私は歩みを止めた。 「もう、誠くん鈍感なんだから…」 ふーとため息をつく私をじっと見てた誠くん。 「あっ!そーいう事か!」 「そうだよー…」 私と誠くんは顔を見合わせてクスクスと笑った。 「あっ…秋穂ちゃんっ! ありがとぉぉぉっ!! 大好きだぁぁぁっ!!」 少し離れた所で、木村くんの絶叫が聞こえて、私と誠くんは爆笑した。  
/177ページ

最初のコメントを投稿しよう!