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早速秋穂からもらったあの真っ白なマフラーを巻いて、さらに顔をクシャクシャにして喜んでる木村くんと、顔を真っ赤にしながらも嬉しそうにそれを見つめる秋穂を遠巻きに見つめてた。
「大地、すげー嬉しそう」
「うん、ホントだね」
微笑んだ私の顔をじっと見た誠くんが
「ねぇ麻衣ちゃん…草薙先輩の志望大の話、聞いた?」
といきなり話を振って来た。
一瞬戸惑ったけど…
「うん…弥勒さんから聞いた」
「そっか…
余計なお世話かもしれないけどさ…
草薙先輩が京都なんて遠くに行っちゃってもいいの?」
真っ直ぐに私を見つめて聞いて来る誠くんに私は素直に答えた。
「ううん、行って欲しくないって思ってる。
だから…
今日、その気持ちをちゃんと伝えようって思ってるよ」
私の言葉に、誠くんはニッコリと笑った。
「そっか。なら良かった
麻衣ちゃん、今度こそ草薙先輩ときちんと向き合ってね」
そう言った誠くんの笑顔は、出会った頃みたいにキラキラ輝いてる。
「うん。誠くん…ありがとう」
「いや、俺は何もしてねーし」
ぶっきらぼうに言う誠くんには、やっぱり優しさが溢れてて私は心がほっこりとした。
「じゃーね、麻衣ちゃん。
メリークリスマス」
そう言って2組の教室へと入って行く誠くんに私も言った。
「誠くん、メリークリスマス」
少し離れたところで、秋穂をぎゅっと抱きしめてる木村くんの嬉しそうな顔を見ながら私も自分の教室へと入って行った。
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