Time 28

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終業式の間もずっとソワソワする私。 早く… 早くこの気持ちを響先輩に伝えたい。 体育館に整列した全校生徒。 3年生の列の一番後ろの方に赤い髪だけが見えて、私の胸はドキドキしっぱなしだった。 冬休み中の補習とか、休み開けにあるテストの事とか、先生がダラダラと話すHRにイライラしてる私を後ろの席の真奈美がクスクス笑ってた。 やっと長かったHRが終わって先生が教室を出た途端、私は響先輩へのプレゼントを入れたトートバックを抱えて立ち上がった。 「麻衣、いよいよだね!」 「今度こそ素直にね!」 「麻衣、頑張れ!」 3人の励ましに私はゆっくりと頷いた。 「行って来る…」 3人が微笑みながら親指を立てて見送ってくれた。 教室を出たら、2組の前で誠くんまでがニコニコ笑って親指立ててる。 なんか… いざ!出陣! みたいじゃん…。 そう思ったらなんだかおかしくなって、私はクスクス笑いながら階段を登った。 階段を一段登るごとに私の心臓がドキドキを増して行く。 思い出せば、春に入学して… なかなか友達が出来なくて、暇つぶしに校内を俳諧してて… 階段を登り切った所で、何も書かれていないプレートがぶら下がるこの教室を見つけた時、胸が弾んだ。 その真っ白なプレートをじっと見つめ、ふーっと深呼吸してから、私はそっと空き教室のドアを開けた。    
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