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ゆっくりと積み上げられた机の間を抜けて行けば、そこには愛しい赤い髪。
「先輩」
その声に振り向いた響先輩の笑顔にやっぱり私の胸がキュンとした。
ゆっくりと私の指定席だった椅子に腰かけると、黙ったままじっと見つめた響先輩の瞳が私を捕えて離さない。
「あの…」
伝えたい事はたくさんあるのに何から言葉にしていいか解らなくて私はまた俯いてしまった。
「今日はクリスマスイブなんだよな」
その言葉に私は再び先輩を見つめた。
「今日、麻衣に会えて良かったよ。
ほら、これ」
そう言って先輩はポケットから四角い包みを取り出して、
ぶっきらぼうに私の方へ差し出した。
「えっ?」
驚く私に先輩は、ポリポリと頭をかいて言った。
「一応…クリスマスプレゼントってやつ?」
「…くれるんですか?」
私の言葉にニコリと笑った先輩が頷く。
私は恐る恐るその四角い包みを受け取った。
「…開けてもいいですか?」
「ああ」
それだけ言って、立ち上がった先輩は窓枠にもたれて外を眺めてる。
ピンクのリボンをゆっくりと解いて包みを開けると
白い箱が現れた。
その箱の蓋をそっと開けたら…
そこには茶色い木製の小さな箱。
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