Time 28

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そっと白い箱からその茶色い箱を取り出して、上蓋を開けた。 流れ出した『星に願いを』のメロディと、 プリザーブドフラワーで飾られた箱いっぱいのピンクのバラ。 「先輩っ…これ…」 少し顔を赤くした先輩が 「姫香の選んでもらった時、 麻衣それすごく気に入ってたみたいだったからな…」 そう言って、また窓の外に視線を逸らした。 静かな空き教室に流れ続ける 『星に願いを』 のメロディに私は胸がいっぱいになって行く。 「先輩…ありがとう…」 「ん…」 優しい音色のオルゴールの音に私は立ち上がって、込み上げて来る思いを言葉にした。 「先輩っ…行かないで下さい…」 私の突然の言葉に響先輩は驚いたように私を見つめた。 「…京都なんて… そんな遠い所… 行っちゃいやです…」 「麻衣…」 「私っ…」 込み上げて来る涙が一気に私の頬に伝って行く。
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