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そっと白い箱からその茶色い箱を取り出して、上蓋を開けた。
流れ出した『星に願いを』のメロディと、
プリザーブドフラワーで飾られた箱いっぱいのピンクのバラ。
「先輩っ…これ…」
少し顔を赤くした先輩が
「姫香の選んでもらった時、
麻衣それすごく気に入ってたみたいだったからな…」
そう言って、また窓の外に視線を逸らした。
静かな空き教室に流れ続ける
『星に願いを』
のメロディに私は胸がいっぱいになって行く。
「先輩…ありがとう…」
「ん…」
優しい音色のオルゴールの音に私は立ち上がって、込み上げて来る思いを言葉にした。
「先輩っ…行かないで下さい…」
私の突然の言葉に響先輩は驚いたように私を見つめた。
「…京都なんて…
そんな遠い所…
行っちゃいやです…」
「麻衣…」
「私っ…」
込み上げて来る涙が一気に私の頬に伝って行く。
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