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『星に願いを』
そのメロディが流れ続ける教室の中…
優しく触れた響先輩の唇に私の心が溶けて行く。
重なった唇から伝わるのはやっと繋がったお互いの気持ち。
ゆっくりと唇を離した響先輩が、優しく私を抱きしめた。
その胸の中は、やっぱり温かくて安心出来て…
私の不安を全て取り除いてくれる…。
ゆっくりと響先輩の背中に回した手だけで、全ての思いが伝わるような気がした。
「先輩…」
「あ?」
「私も…先輩にプレゼントあるんです…」
私の言葉に、驚いたように私を見下ろした響先輩にニコリと微笑むと、先輩はゆっくりと私を胸の中から解放した。
私はトートバックからあの包みを取り出して、響先輩に渡した。
「開けていいか?」
響先輩の言葉に、私はニコっと笑って頷いた。
思いっきりニヤケながら包みを開け始めた先輩に思わずクスっと笑ってしまった。
たたんであるブランケットを広げた瞬間、響先輩の目が一気にキラキラと輝き出したのを見て、ますます私は笑いが込み上げる。
「「桜木花道」」
先輩と私の言葉が重なって、二人でクスクスと笑った。
ブランケットを嬉しそうに眺めた先輩は
「麻衣、ありがとう。
俺、志望大変更するよ。
お前と離れるワケにはいかねーから。
だから…
お前はこれからずっと俺のそばにいろ」
その言葉に私はコクンと頷いた。
「響先輩…大好きです」
やっと言えたその言葉に、再び私を包んだ響先輩がクスっと笑った。
「先に言うなチビ。
お前が好きだ。
大好きだ。
もう絶対誰にも渡さねーから覚悟しろ」
ちょっぴり乱暴な言葉で私を包む、見た目は不良の心優しい先輩は…
私の最愛の人になった…。
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