エッグスカラー

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心配は忘れたころにぶり返すものだ。二日後の授業、夕日に染まったホワイトボードの、中村の名前の下には、マル休(事前に休みの連絡が来ると、○の中に休の字を書いて休講とするのだ)が書かれていた。いつ書き込まれたのか、前の授業が始まるときにはなかった。焦って室長を捕まえる。 「室長。中村って」 「ああ、本人から連絡があってね。ほら、あの子の家はアレだから」 「アレってなんですか」 早口で聞くと、室長は苦い顔をした。アレと、濁すわけだから話すのには憚られる話なのだろう。少し考えたようなそぶりを見せ、室長は重い口を開いた。 「あの子、養子なんだよ。で、たまに相談所とか何とかいうところに行って暮らしぶりを相談員さんに聞いてもらうの。ここのところ行ってなかったみたいだから」 あまり人に言ってはいけないんだけどもねと、付け加えた。言うには突っかかりを感じるといった様子だ。なんだと、胸をなでおろす反面、僕は僕で、気持ちの突っかかりを感じていた。ここのところ行ってなかったという相談所に、今になって行くわけとは。
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