第一話

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「しかし、まあアルバムまで引っ張り出してある所を見ると・・・やっぱりまだ立ち直ってくれてないんだねぇ・・・」 そのようですね。 写真をみるかぎりでも二人はとても仲が良さそうなので、その分やはり亡くなった時は辛かったのでしょう。 「しようがない子だねぇ、まったく・・・」 って、トメさん! 大事そうなアルバムにラクガキなんてして良いんですか? 「良いんだよ。 私はおばあちゃんだからね」 おばあちゃんだから・・・って、どんな言い訳ですか、それ!? 「良いから、あんたは黙ってみてな」 は、はあ・・・。 あーあーそんなにラクガキをして、しかも一枚一枚丁寧に書いてるって事は全部に書く気ですか? 「あたりまえさね」 なにがあたりまえなのでしょうか・・・。 おや、最後のページ 裏表紙になる部分には文字を書くのですか? 「ラクガキだけじゃ寂しいからね、ちょっとだけメッセージでも残しとこうと思ってね。・・・これでよし。 さあイケさん帰りましょうかね」 おや?もう良いのですか? 結局お孫さんはあなたに気付かなかったみたいですが。 「良いんだよ。 泣き疲れて寝てしまったようだし、起こしてはいけないからね。 さあ、目を覚ます前にとっとと帰るよ!」 ちょ、そんなに背中を押さないで下さい! そんな無理やり私を部屋から追い出すなんて・・・って、おや締め出されてしまいました。 っと思ったら、もうトメさんも部屋から出てきた。 いったい今のわずかな時間に何をしていたんです? 「内緒さね」 ・・・そうですか。 まあ、いいです。 では、帰りの電車を呼ぶのでしばしお待ちを。 「イケさん携帯なんて持ってるのかい?ハイカラだねぇ」 会社至急の社内無線のようなものです。 これで死後の世界と行き来する電車が呼べます。 「色々あるんだねぇ」 ええ、まあ。 あ、もう来たようですよ。 それでは帰りましょう。 「早いねぇ。さすがアイティーは違うね」 ITの事ですか?電車にITは関係ないですが、まあ説明するのも面倒なので、さっさと帰りましょう。 「はいね」 それでは死後の世界へ向けて出発ー!!
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