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「しかし、まあアルバムまで引っ張り出してある所を見ると・・・やっぱりまだ立ち直ってくれてないんだねぇ・・・」
そのようですね。
写真をみるかぎりでも二人はとても仲が良さそうなので、その分やはり亡くなった時は辛かったのでしょう。
「しようがない子だねぇ、まったく・・・」
って、トメさん!
大事そうなアルバムにラクガキなんてして良いんですか?
「良いんだよ。
私はおばあちゃんだからね」
おばあちゃんだから・・・って、どんな言い訳ですか、それ!?
「良いから、あんたは黙ってみてな」
は、はあ・・・。
あーあーそんなにラクガキをして、しかも一枚一枚丁寧に書いてるって事は全部に書く気ですか?
「あたりまえさね」
なにがあたりまえなのでしょうか・・・。
おや、最後のページ
裏表紙になる部分には文字を書くのですか?
「ラクガキだけじゃ寂しいからね、ちょっとだけメッセージでも残しとこうと思ってね。・・・これでよし。
さあイケさん帰りましょうかね」
おや?もう良いのですか?
結局お孫さんはあなたに気付かなかったみたいですが。
「良いんだよ。
泣き疲れて寝てしまったようだし、起こしてはいけないからね。
さあ、目を覚ます前にとっとと帰るよ!」
ちょ、そんなに背中を押さないで下さい!
そんな無理やり私を部屋から追い出すなんて・・・って、おや締め出されてしまいました。
っと思ったら、もうトメさんも部屋から出てきた。
いったい今のわずかな時間に何をしていたんです?
「内緒さね」
・・・そうですか。
まあ、いいです。
では、帰りの電車を呼ぶのでしばしお待ちを。
「イケさん携帯なんて持ってるのかい?ハイカラだねぇ」
会社至急の社内無線のようなものです。
これで死後の世界と行き来する電車が呼べます。
「色々あるんだねぇ」
ええ、まあ。
あ、もう来たようですよ。
それでは帰りましょう。
「早いねぇ。さすがアイティーは違うね」
ITの事ですか?電車にITは関係ないですが、まあ説明するのも面倒なので、さっさと帰りましょう。
「はいね」
それでは死後の世界へ向けて出発ー!!
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