第一話

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「さくらちゃーん、おばーちゃんだよー。 おばーちゃんが遊びに来たよー」 トメさん。ノックするのは良いですが、話しかけても声は向こうに聞こえませんよ。 「さくらちゃーん、おばあちゃんですよー」 完全にわたくしの話を聞いてませんね、トメさん。 「へんだねぇ、ノックしてもちっとも出てくれないねー。 いつもならすぐおばーちゃんって来るのに。 出かけてるのかねぇ」 いえ、中に人がいる気配がするので、お孫さんは部屋にいると思いますよ。 出てこないのはノックの音は聞こえるけど、声は向こうに聞こえてないからではないでしょうか? 「なんだい。いるなら、開けるよー。おばあちゃんですよー」 ああ、ほらまた私の話を聞いてない。 だから声はあいてには聞こえないんですって・・・ああ、もう部屋に入ってるし。 「さくらちゃん、あれーこんな早い時間から寝てるのかい?」 トメさんベットに横になっている女性の顔を覗きこむのは良くないですよ。 「あれ、目があいてるじゃないかい。 さくらちゃんどうしたんだい?ぼーっとして風邪でもひいたのかい?」 だから話かけても声は届かないんですって。
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