case1

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「次の授業何だっけ? 」 「次は英語、で最後が化学だったかな」 時間割を見る事もなく、神谷迅はスラスラと応えた。 「迅は流石だな、時間割も完璧かよ....なんで同じ顔なのにこうも頭は違うんだよ」 迅の実力は転校初日から発揮された。 どの授業も余裕で理解し、教師の質問にも即答し、今日に限っては朝からみんなに勉強を教えていて、ちょっとした万能転校生と話題になった。 クラスの男子は、「鹿野に教えてもらってるみたいで嫌だなぁ」などふざける者もいた。 何せ鹿野大輔は下から数えた方が早い順位だからである。 「なぁ迅、俺に個人授業してくれよ、今日の放課後俺の家でさ」 授業中、後ろを振り向き鹿野大輔は神谷迅に尋ねた。 「流石に大学には行きたいしよ、それにお前なら教えて貰うのも楽だしよ、晩飯奢るからさ」 「仕方ねぇな、母さんに電話するからまた屋上付き合ってよ」 「OKOK、ノープログレムだ」 鹿野大輔はニコニコ笑った。 「鹿野君!!何後ろ向いてるの!!」 教師が鹿野の体が逆を向いているのに気づいたようだった。 「俺は神谷ですよ」 初日ならこの嘘がまかり通った。 何故なら席を変わったりしていたからだ。 「いいえ、馬鹿な方が鹿野君です」 「そりゃ酷いっすよ!!」 クラスで笑いが起こった。
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