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それから先は、ふざけてるとしか言い様が無かった。
いや、最初から(遼が)真面目な戦いじゃなかったのかもしれない。
ミノタウロスが何やら指先に魔力を集中させたかと思うと、遼は慌てた様子で何かを召喚した。
現れたのは可愛らしいアヒル。
それがミノタウロスの顔面にその可愛らしいお尻でヒップアタックを食らわせたのだ。
「ブモォーッ! ブモォーッ!?」
「クワワァ!」
そのまま2匹はまとめて何処かへと飛んで行く。
「さようなら!」
遼はその2匹に向かって、満面の笑みで手を振っていた。
2匹が空の彼方のお星様になると同時に、遼は振り返る。
「Jr……。やっと、さっきの続きができるのぉ」
ゴキゴキと首や拳を鳴らし、先程とはうって変わって真面目な戦闘モードの遼。
テオンは不敵な笑みを浮かべると、鞘から剣を引き抜いた。
「そうか。……ここなら、何の問題もないな」
チャキ、と正眼に構える。
のどかな草原は、じわりじわりと緊張感を高めていった。
「……アタシは」
『完全に男の世界だねぇ』
2人とは裏腹に、その雰囲気に置いてきぼりをくらった黎とノルは、少し離れた場所で暇そうにその光景を眺めていたのだった。
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