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「ちょ、ちょっと君。……まずは人が居ることを気にしようか。そして、三河屋って何?」
それで漸く男性はユーリに気付いたのか、此方に振り返った。
「あ? 誰やねん、オッサン?」
「お、オッサン……」
グサッ、と音がする勢いで、ユーリに言葉が突き刺さる。
ちなみに、ユーリはまだ30になったばかりである。
世間的には、オッサンと呼ばれるにはまだ早い。
思わぬ精神的攻撃に、ユーリは地面ですすり泣く。
そんなユーリを無視して、男性は再び壺に視線を移すと、物欲しそうに言った。
「おい、オッサン。これ、貰てもえぇやろ?」
その言葉に、ユーリは直ぐ様立ち上がると、男性に詰め寄った。
「駄目だ! それ高いんだから!」
高い金叩いて買った、女の子にモテるようになる壺だ。
ちなみに、テオンには、依頼で貰ったただの金の壺と言ってある。
どんな壺かバレようものなら、即刻消滅されるだろう。
「俺のために買ってくれたんやろ? ありがとう」
「違うから!」
取られてたまるか!と、ユーリは必死に否定する。
すると、男性はそんなユーリを面白いものを見るような顔をした。
「うん、知ってる。冗談」
ユーリは、盛大にずっこけた。
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