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「な、何なんだ君は」
気を取り直して、ユーリは男性の正体を聞く。
てっきりはぐらかされるかと思ったが、男性はすぐにその問いに答えてくれた。
「俺? 華宮遼。人間や」
「華宮遼……」
この世界には無い、独特な響きの名前。
それが意味することを、ユーリはすぐさま理解した。
「もしかすると、君も異世界人かい?」
「お! オッサン知ってんの? 流石やなぁ」
駄目もとで聞いてみたが、どうやらあっていたようだ。
「っと、人に名乗らせておいて、僕が名乗らないのは失礼だね。ユーリエル・フレンネス。それが僕の名前だ」
「じゃあ、エルフレ」
「そこを取ったか!」
まさかの略し方に、ユーリはつっこまざるを得なかった。
「ユーリ、と呼んでくれ」
そう、呼んでくれるように、ユーリは、遼に頼んだ。
だが、彼は特に呼び方に関心などないようで、あまり聞いていない様子だった。
それにユーリは内心嘆息していると、ふと思い出したように、遼が聞いてきた。
「なぁ、ユーリ。お前さっき、異世界人が他にもいるような口ぶりやったよなぁ?」
「そうだよ。巫女として召喚された女の子と、それに巻き込まれた女の子がいるよ」
「へぇ~、そうなんや」
そういった遼の表情は、どこか憐れみを含んでいた。
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