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明らかに、目の色が変わった。纏わりつく空気が、やたらと重くなった事に気付いたシエルは更に口角を上げ、これみよがしに言葉を続けた。
「ほら、どうした?要らないんだろ?ソレ。切ってやるから、出てこい」
「・・・・・・いや、でもあんたがそんな事言うとか天地がひっくり返ってもありえない。だから嫌」
「お前なぁ、人の厚意は素直に受け取るもんだろ!受け取れ!そして俺様にこき使われろ!」
「本音が出てんのよ!」
ここからは、有象無象、汚い言葉のオンパレード。
互いに脳の構造は似ているのか、売り言葉に買い言葉。
ようやく片が付いたのは、この部屋に入ってから一時間半経ってからの事。
「・・・・・・分かった。出れば、いいのね」
「フン・・・最初から素直に言ってりゃ、こんな無駄な体力使わないで済んだのによ」
安堵の息を深く吐き、指をパチリと鳴らすと腕に嵌められた桎梏は霧となり、格子は水となり眼前から姿を消した。
「行くぞ。立てんだろ?」
「あんたの手だけは借りたくない」
「あー、そうかよ」
ゆっくりとその場から立ち上がり、摺足で付いてくる葵を確認し、歩を進める。
長い長い廊下の後、見えてきた果てしなく続く螺旋階段。
無言で登ってはいるものの、シエルは本日二回目。
葵に至っては、二百年幽閉されていた身だ。
そして、先程の体力を削る言い合い喧嘩。
そろそろ二人の体力はゼロです。
「・・・・・・休憩、しないか?葵」
「フン、もうへばったの?体力がないわね、シエル」
「って言ってるお前も足ガクガクじゃねぇかよ」
「寒くて震えてるだけよ」
「何!!その強がり!!」
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