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「・・・見違えるもんだな」
椅子に頬杖付きながら口をだらしなく開けて言った。
それもその筈。小一時間程、会っていないだけでここまで変わるものなのか。
煤けて何色か分からない色をしていた髪は、照明に当たって煌めく銀色に。
太もも辺りまで伸びていたものを切り、胸元辺りで揃え、今は横で緩く縛られている。
「洗って切ってくれるのは有難いのだけども・・・首が痛い」
首に手を当て、右に左に何度も回している葵。だが、まだ不満な顔をしている。
「これ、あんたの趣味?」
着ているワンピースに手をやり、ヒラヒラと見せてくる。
「いや、俺ではないが・・・」
葵からある人物に視線を移す。覚えているだろうか、先程ある事を頼んだ人物。
服、靴、その他諸々。勿論、食事までシエルが頼んだ人物・・・そう、リルです。
「そんなにお気に召しませんでした?それ」
首を傾げ、不思議そうに葵とシエルを交互に見るリル。
「いや、気に入る気に入らん別としてよ」
「はい?」
「短すぎね?あのスカート」
膝上十センチまでは行かずとも、ヒラヒラとプリーツが動くたびに見えそうな中身。
更に言えば、胸元ざっくりブイネック。
「そして何故赤なんだ?」
「お似合いになるのでは、と」
「あぁ、うん・・・そういう事ね。いや、似合うけどもね」
「葵様はお気に召しませんでしたか?」
不意に視線が葵に移る。捨てられた子犬のような目で見てくるリル。
気に入らないなんて、誰が言えますか。
「・・・いや、別に着れればいい」
目線が泳いでいる葵。嘘の付けない子っていますよね。
「あぁ、良かった。安心しました」
そしてそれを真に受ける子っていますよね。
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