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「やっと理解したか、あったまワリー」
「煩い、ドジッコ気取りの腹黒大天使に言われたかない」
「あーそうかよ。行ってくれるよなぁ?風呂も入った、服も新調、飯も食わした、更には牢獄から出して貰ってるんだ。感謝の念くらいあるよな?」
今まで尽くしてきた数を指折り、狡賢い表情のシエル。まるで悪魔のようだ。
葵はというと、何も疑いもせずご飯を食べた事、風呂に入れさせてくれた事、服が新しくなった事その他諸々・・・
何故疑わなかったのか、数時間前の自分に後悔の念を送っている最中でした。
「・・・分かった、行くわよ行けばいいんでしょ!!」
「流石、素直だなぁ。お礼と言っちゃあ何だがコイツを連れてけ」
指を鳴らし、簡易法陣を発動させたシエル。一瞬の光と共に現れたのは青い目の白虎。
「俺様の一番の使い魔だ、見た目通りに頼りになる奴だ」
シエルの足元を喉をゴロゴロと鳴らし、伏せっている白虎に葵は目を輝かせた。
「フワフワの毛並み最高級毛布、いざとなったらの非常食・・・ありがとうシエル、人生二度目の感謝よ」
「今お前なんて言ったよ?食うなよ!絶対食うなよ!!」
白虎を庇いながら、受け渡すべきか迷っているシエル。横では少し不安気な白虎、そして食い入るように見つめながら涎を拭う葵。
端から見れば凄い図になりそうだ。
「ま、冗談よ」
「冗談に聞こえねぇよ」
未だに白虎を庇いつつ、葵を威嚇し続けるシエルに飽きてきたのか地上に行く為の法陣を発動させる。
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