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真下から起こる眩い光、柔らかに吹く風、身を任せ光に飛び込もうとした瞬間。
「葵、お前まだそれ持ってたのか」
集中力の切れるシエルの問い。葵の額に浮かぶ青筋。
一言言おうとしたがシエルの細めている視線が気になって止まる。
視線、指先を辿ると葵の胸元に下がるロザリオ。
もう古ぼけて輝きは失われかけてはいるが、葵にとっては大事なお守りなのだ。
「うっさい・・・次集中力切らす事言ったらソッコー殺るわよ」
ロザリオを隠すように手で覆い隠し、再度法陣の中に飛び込む瞬間
「奴らが来るかもしれん、気ぃ付けろよ」
微かに光の筋から見えたシエルの真剣な目。消える微かな時間で見えた葵の勝気な笑み。
「誰に物言ってるのよ」
刹那に消える光。もう其処には葵の姿は無い。
消えた先を見つめ、徐に首元に手を突っ込みある物を取り出す。
それはロザリオ、ただ葵と違うのは銀色に輝きを放っている。
それに口付けするように、優しく、ゆっくりと目を瞑る。
「君の行く末に光が在らん事を・・・」
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