一話

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「・・・・・・夢、か」 実に目覚めの悪い夢だ。すこぶる気分が悪い。最高にストレスが溜まった。 幼少期の頃と、あの時。交互に見る事も、最近ではなかったのに。 大体、揃いも揃って夢とか。こんなところに閉じ込めておいて何が「夢」よ。ちゃんちゃら可笑しいわ。 空もろくに見えない牢獄。見えるのは、どこまでも広がる漆黒の夜。 微かに射す日の光は、少しの絶望。年月がどれ程過ぎたか分からない。 「頭、痒い・・・」 お風呂?何時だったかな、最後に入ったの。だって、壊しちゃったんだ。胸糞悪くて。 綺麗な白いベッドも、トイレも、お風呂も。 ご飯を運んでくる真っ白な羽を持った、奴等も。 だって、耐えられる?毎度毎度、飽きもせずに私を汚い目で見てくるのよ。 ・・・天使は優しい?馬鹿言っちゃいけないわ。天使は汚れた心が嫌いなのよ。 じゃあ、悪魔は・・・って? 悪魔は優しいじゃない。貴方にとって、最善の悪の道を教えてくれるわ。  私?天使じゃないよ。 ・・・悪魔でもないけどね。 ――貴方なら、どちら側を選択する?  天使か    悪魔か
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