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「さってとー。やるかね」
シエルが立っている眼前に広がるただっ広い真っ白な空間。ここで野球でもやれと言われても、余裕で出来る広さ。
サッカーにしようか?いや、問題はそこではないのだが。
ただ、野球場のように何もない訳ではない。サッカー場のようにゴールネットがある訳ではない。
あるのは、ただの宝具。それも三十三個の天界に伝わる、光の装飾品。
「良い感じに溜まってンな」
三十三個の宝具を一個一個確認するように、ゆっくりと歩を進める。
カツン、カツンとヒール音が反響する。
ショーケースのような硝子棚に並べられた装飾品。照明に当たって乱反射を繰り返す宝石。
「さぁ、俺様の為に解放して貰うぜ・・・先代大天使様方」
皮肉に、かつ偉そうに。空間の中心に立ち、手を軽く広げる。解放の刻だ。
シエルの足元が淡く、波打つように光る。
「・・・いや、ちょっと待てよ。やっぱりマズイ・・・かな」
顔を青ざめた状態で、若干グロッキーなシエル。展開した光の陣もションボリしながら薄れていく。
「こんな事やったら、俺様この地位にいれなくね?ただでさえ、めちゃくちゃ厳しい天界だぜ・・・」
顎に手を添え、ブツブツと独り事。
「威張れない、いや・・・最悪、天界追放ってのも・・・」
その場で蹲り、唸るシエル。今からやろうとしている事を冷静に考えたようだ。
後ろから近付く気配にも気付かずに。
「何やってるんですか、シエル様」
「ぎゃあああああああ!!」
「うわ、なんですか?!」
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