一話

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『法陣展開。我が名、シエルに基づき己が力を・・・』 シエルの足元に円状の陣が解き放たれる。展開される光の陣は、シエル全体を包み込んでいく。 ニヤリと笑うシエル。嫌な予感しかしないリル。 「リル。止めるなら今のうちだ。俺様が今やる事は、天界追放級の大事だぜ」 「いやいや、止めるも何も・・・陣展開してしまったら止められないですよ」 その言葉を聞き、両手の平を勢い良く打つシエル。陣の光が増した。もう誰も止められない。 『封印されし光の装飾品よ・・・我が創りし地に放たれたまえ!』 「えぇえええええええ!!」 シエルの言の葉により、大きな地響きと共に光線のように地に落ちていく光具。 腹を抱えて笑っているシエル。青ざめた顔で行く末を只見ているしかできないリル。 「わはは。落ちろ落ちろぉ!!」 「・・・・・・嘘でしょ・・・」 「だから言ったじゃねぇか。止めるなら今の内だってな」 胸を張り、大威張りで笑うのを堪えているシエルに、言葉が出ないリル。 もう青ざめるしか出来ない。 「さ・・・って、俺は行くわ。約束を果たしにな」 「ちょっ!シエル様、貴方今何をやったか分かっていらっしゃいますか?!」 「ん?分かってるけど。まぁ、誰か来たら適当にあしらっておけよ。じゃなー」 「こん・・・の!!イかれ上司!!」 「ハハ。いいね、それ」 屈託のない笑顔でリルの涙混じりの毒を受け流す。 後ろ向きでヒラヒラと軽く手を振り、何もない部屋と化した空間を足早に退散するシエル。 後の事は、全てリル任せ。リルがどう出るかで、シエルの今後の未来が決まる。
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