一話

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「久々に会って一言目が、これかよ!他に言うことないのか!!」 「ない。あんたと話すと、腐りそうで・・・心から身体から全てにおいて」 『葵』と呼ばれた少女の細い腕には見合わない、銀の桎梏。ジャラリ、ジャラリと音を立てて少女に纏わりつく。 腰ほどの髪は乱雑に伸び、黒ずんでしまっている。 伸びた髪の隙間から時折見える、大きなはっきりとした瞳の暗緑色。 「さっきは随分な挨拶だったじゃねぇか、葵。俺様の頬に掠りやがって」 「は?・・・あぁ、蚊でも飛んでたのかと思ったら。あんただったのね」 無表情のまま、葵は言った。 「てめぇ、マジで覚えておけよ。後で殴る蹴るの応酬した後、五回くらいどつく」 「あっそ。どうせ、私はここから出ることはないか。あと何年先かな」 「いや、今からお前には此処を出てもらう」 「・・・・・・・え?」 思いがけない言葉がシエルの口から飛び出したのか、葵は気の抜けた声を出した。 「嫌なのか?あれだけ暴れて入るのを拒んでたんだ。出たいだろ?」 口角右上げ、腕組み動作。これはシエルが良からぬ事を考えている。それも、確実に。 「嫌。出たくない」 「何でだよ。出てこいって。出して~って懇願しろ」 「命令になってんじゃない。絶対嫌よ。絶対出ない」 「・・・その黒、切ってやる。と言ってもか?」
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