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都内にある小学校の四年一組の放課後。
教室の前の廊下には、二人の生徒が周りを警戒しながら立っていた。教室の中で起きている事が、バレないように。
教室の中では、机や椅子を端に寄せ、十数人の生徒が空いた所に集まっている。
「ばーーーか」
「化け物! 死ねよ」
「あはははは。早く死ね!」
「「「しーね。しーね。しーね」」」
生徒達は円を作り中心に向かい、罵倒していた。そこには、一人の少年が蹲っている。
この少年の名前は、椎名絵夢〈しいなえむ〉。
彼は、四年一組の生徒の一人。髪は生まれつき銀白色。目はくっきりとした二重で色は髪と同じ白銀、中性的な顔をしており少女のようにも見える。
容姿のせいか、休憩時間や放課後、暇さえあればイジメにあっていたのだ。
そしてイジメの原因に、もう一つ。
絵夢には、両親がいないという事だ。生まれて間もない頃だった。寒い中、薄い布一枚で包まれ施設の前に捨てられていたという。
それも、やはり髪の色のせいなのだろうか?
長年のイジメから抵抗する事を諦めている絵夢。図に乗るクラスメート。誰も、彼らの行為を止める者がいない。
そんな彼らのイジメを止めるのは、いつも。
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