死の惑星

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  ──……   「……?」 妙に高い機械音で目を覚ました雅樹の目の前に、果ての無い真っ暗闇が広がっている。 力の入らない腕をゆっくりと動かすと、すぐに何かにぶつかった。 どうやら『果ての無い真っ暗闇』というのは間違いのようだ。 雅樹が手足を動かして確認すると、棺桶くらいのスペースしか無いことがわかる。 「あれ……どうしたんだっけな……」 普通の人間ならば恐怖を感じるような無音の暗闇にも動じず、感覚の薄い体をゆっくりと動かしながら、雅樹は冷静に過去の記憶を掘り起こした。 と、何かを思い出す前に、雅樹の入っているカプセルが動き始めた。 「ああ、そうか。『仮死冷凍保存』……。まだあんまり実感無いや」 雅樹は断片的な記憶から状況を把握し、同時に嫌な緊張感を覚えた。 雅樹が目を覚まし、このマシーンがせり上がってきているということは、ここは五十年後の未来の地球ということになる。 そして遂に、雅樹の入ったカプセルの上部が開いた。
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