死の惑星

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  誰もいない埃だらけの室内で、雅樹は近くのデスクに放られた白衣を見つけ、それを素肌の上から着用した。 「うぅ、この格好……変態だ……」 格好に絶望しながらも、雅樹は自分の眠っていたカプセルに近付いていく。 そして部屋の隅にあるもう一台のカプセルに気付き、慌てて駆け寄った。 「これは……」 誰も入っていないカプセルには、床と同じように埃が溜まっている。 つまりこのカプセルが開いたのは、昨日や今日のことではない、ということだ。 「ッ……沙耶、どこに行ったんだ」 雅樹はゆっくりと室内を見回した。 室内は何かの資料や大量の埃で荒れ果てている。恐らく相当長い間、誰も出入りしていないのだろう。 「みんな……俺のこと、忘れちまったのか?」 澄んだ瞳にうっすらと涙を浮かべながら、雅樹は部屋の入り口の方へと歩き出した。
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