43人が本棚に入れています
本棚に追加
/120ページ
「あれ?」
そこで雅樹は何かに気付き、視線を落とした。
自分の両手を左右に振り、それをまじまじと見つめる。
「……見える!」
雅樹は元々、眼鏡が無いと近くの物までぼやけて見える程に目が悪かった。
冷凍保存の影響か、はたまた別の要因か、彼の視力は回復しているようだった。
子供の頃からずっと眼鏡をかけていた雅樹はそれを喜び、回復した眼でフロアの隅々まで見渡した。
そしてフロアの隅に座る人影を見つけ、思わず二度見してしまった。
「……!」
誰もいないと思っていた雅樹は、途端に恥ずかしさが込み上げてくる。
「あの! 俺、怪しい者では……」
そんなありきたりな言葉を吐きながら、雅樹はゆっくりとその人物に近付いていった。
「ん……? あれ?」
薄暗い研究所で雅樹が見つけたのは、白衣を着た全身銀色の機械人形だった。
最初のコメントを投稿しよう!