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「くそっ!」
異常な程に息を切らしながら、雅樹が階段を上っている。
電源が入っていないのか、エレベーターは全く動かなかった。
「保存室は……別電源……なのか……!」
階段を一歩一歩上りながら、流れる汗を撒き散らす。
長い間眠っていた代償なのか、筋肉が衰えているように思えた。
そしてようやく一階までたどり着いた雅樹は、休むことなく研究所の入り口へと走った。
途中、先ほどの機械人形と同種の機械をいくつか見掛けたが、やはり電源が入っていないようなので素通りしていった。
「しかし、やけに所内が荒れてんな。……閉鎖されたのか?」
そんなことを呟きながら、ちらりとガラス張りの自動ドアの外を見た。
そして言葉を失い、足を止める。
まるで戦争でも起こったような悲惨な光景が、ガラスの向こう側に広がっていた。
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