死の惑星

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  雅樹はゆっくりと歩き出し、自動ドアを強制的に開いて研究所を出た。 研究所の前に広がっていたはずの大通りは、沢山の車で埋め尽くされているが、どの車にも人は乗っていない。 しかし何台かには、あの機械人形が置かれている。 あの機械人形、もしや運転技術も備えていたのだろうか。 いや、そんなことよりも雅樹が気になったのは、大通りの向こう側だった。 いくつも並んでいたはずの高いビルが、全て崩れてしまっている。 その内の一つが大通りに倒れ、道を完全に塞いでしまっている。 そしてやはり、辺りには誰の姿も無く、あの『機械人形』や、その残骸が散らばっているだけだった。 「どうなってる……」 雅樹は肩を落とし、目の前の現実から目を逸らすように下を向いた。 そんな雅樹を、厚い雲の間から現れた太陽の光が照らす。 この場所は……この星は雅樹の知る地球ではない。 雅樹は拳を強く握り締め、地面を叩きつけた。 「ここは……どこなんだ!」 その雅樹の後方で、研究所の壁に寄りかかった一台の壊れた機械人形が、雅樹のことをじっと見つめていた。  
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