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「ちっ……」
「!?」
どこからか聞こえた舌打ちに、雅樹は顔を上げた。
そしていつの間にか目の前に立っていた青年に気付き、思わず後ろに下がって尻餅をつく。
「あんた、麻月 雅樹だろ」
青年は鋭い目つきをさらに鋭くして雅樹を睨み付けている。
目元が隠れるくらいに伸びた前髪が、雅樹を見下すその黒い瞳をさらに黒く染める。
「やめなよ、そーたろう。ツッキーがビビってんじゃーん」
『宗太郎』と呼ばれたその恐い青年の後ろから、背の低い少女が顔を出した。
動くたびに赤毛のツインテールが揺れ、何だか不思議な雰囲気を漂わせている。
「うっせぇよ、マリ。こいつは……ってツッキーって何だよ」
「あだ名だよ~。大丈夫? ツッキー」
少女は満面の笑みを浮かべ、地面に座ったままの雅樹に手を差し伸べた。
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