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雅樹は『マリ』と呼ばれた少女の手を握り、ゆっくりと立ち上がった。
「君達は……?」
「私はマリ! 『真理』(シンリ)って書いてマリですよ! 苗字は秘密なのです!」
真理は自己紹介しながら、何故か敬礼をしている。
「……」
「……ちっ」
宗太郎は雅樹と真理の視線に耐えきれず、大きな溜め息をついた。
「遠野 宗太郎(トオノ ソウタロウ)だ。不本意だが、あんたを迎えに来た」
宗太郎は本当に不本意そうな顔で雅樹を睨んでいる。
「さ、行こう!」
「あ、ああ……」
真理に手を引かれながら、雅樹は歩き出した。
雅樹がこの世界で初めて出会った人間は、冷たい青年と温かい少女だった。
「はっ! 私、今『サイコー』って言わなかった!?」
「…………」
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