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真理に手を引かれながら、雅樹は周りの風景ばかりを見つめていた。
やはりどこを見ても、ここが地球だとは到底思えない。……というより、現実の光景だとは信じられなかった。
宇宙科学研究所があったことや、日本人である彼らの存在から、ここは間違い無く地球の日本なのだろう。
しかし、五十年経ったからと言って、ここまで荒廃するものなのだろうか。
崩れたビル。倒れた信号機。放置された何体もの機械人形。
「基地に着いたら、ちゃんと説明するからね」
雅樹の気持ちを察してか、真理がそう言いながら雅樹の顔を覗き込む。
その様子を後目に、宗太郎が小さな溜め息をつく。
「話は後だ。今は歩け」
「ああ……」
雅樹は二人を質問責めしたい気持ちを抑え、宗太郎の後ろを歩いていった。
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