24人が本棚に入れています
本棚に追加
「それじゃ、君を連れて行くね?別に許可を取る必要ないんだけど、一応ね。」
そう言って苦笑しながら男は俺に触れようとした。
(…もう…ダメだ…)
そう諦めた刹那。
「……」
バッ!
いきなり男が俺から離れた。
ヒュンッ!!
すると、風を切るような音が響いて俺の目の前、つまり男がいた筈の場所に数本矢のような物が突き刺さった。
「…どうやら邪魔が入ったみたいだね。次は必ず君を連れて行くから…覚悟していてね?
"蒼蘭の君"…」
そう言うと、男は歪んで消えた。
そしてそこで俺の意識も途切れた。
『千里!!…千里!!…』
遠くの方で、誰かが悲しそうにそして必死に俺の名前を呼ぶ声を最後の記憶に残っていた。
最初のコメントを投稿しよう!